「映画」アフタートーク 柴幸男さん

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「映画」のアフタートークで柴幸男さん(劇作家・演出家 ままごと主宰)にお話いただいた内容を書き起こしました。
抜粋ですが、観劇のご参考にしていただければ幸いです。

参加者:
柴幸男(劇作家・演出家 ままごと主宰)
鳥山フキ(ワワフラミンゴ主宰)
司会:北村(出演者)

——ワワフラミンゴの印象を教えてください。

柴幸男(以下柴):鳥山さんの作品って、観る人に押し付けてこない感じが僕はすごく良いなって思ってます。笑って欲しいのか、それとも…

鳥山フキ(以下鳥山):笑って欲しい(笑)

 :あ、笑って欲しいんですか(笑)でも鳥山さんが「ここ笑ってほしいな」って思っているところがどこなのか、観ている方はわからないと思うんですよ。笑って欲しそうな劇って、自分の時もすごくいやだなって思うんですけど「あ、ここで笑わせたいんだな」とか「今ここで面白いことが起こったんだな」っていうのがもろに伝わっちゃうと、非常に笑いにくいというか、つまらない状況になりやすい。ワワフラミンゴはそれがすごく正体不明というか、作り手のエゴを感じないんですね。あと役者さん達も「ここで面白いことしてやろう」という空気が一切なくて、すごいいいなと思うんです。

鳥山:(役者たちへ)無いんですか?

——笑い取りにいってます!

 :そうなんですか(笑)でも俳優さんたちが余計なことを全然しないじゃないですか。第一、あまり歩かないですよね。ポジショニングがとれたら基本そこでしゃべる。あれって俳優さんたちの余計……余計というか…なんか要らないなっていう動作を……鳥山さんが削ぎ落としてってるんですか?それとも自然とああいう何もない状態に近づいていくんですか?

鳥山:役者に任せてます。

 :え、そうなんですか?

鳥山:ほとんど何も言わないです。ね?

——(頷く)

 :みんな変に近寄ったりとか離れたりとか、そういうことしないですよね。

——動くノイズが、テキストを損ねるのは嫌だなと思っています。

 :言葉以外の情報とぶつからないので、言葉が全部ちゃんと届いてる感じがしました。あともう一つあって、台本を書いていると演劇って人が出入りすることでしか話を動かせないように思うんですけど、その、”人の出入りのタイミング”と人選が、鳥山さんは絶妙だなって思います。どうやって組み立てていってるんですか?頭から順番に「この人は……」って作るんですか?

鳥山:そうですね。出入りは最初の方に決めます。この人が来て、お金を渡して……とか。でも書いていると思うとおりにいかない時ってありますよね。

 :ありますね。だから僕とかは書いていて「この人いなくなって欲しいのにどうしよう」という場面があるんですが、鳥山さんの作品を観てて革命というか…何の理由もなく、おもむろに人が出たり入ったりするじゃないですか。残った人たちも特にそのことに触れない。出ていく理由とか別になくていいんだ?!って。それはすごい衝撃を受けました。

鳥山:そうですね。理由とかは別に……。

 :いらない……んですよね。

鳥山:いらない……です(笑)。

——出入りにこだわってる感じはありますね。ひと通りの出入りが固まるまで台本を1枚もわたしてくれない。

鳥山:全体の出入りが決まらないと最初のシーンができない。なのでできるまでは誰も台詞が覚えられないと。でも他の作家さんもそうですよね?

 :そうですね。ただ没頭して作っていると、言わせたい台詞とかやりたいことを沢山やっているうちに、ずっと同じ人達ばっかりになったりして、なんか息苦しいなって。でも鳥山さんのお芝居を見てると、”話題”と人間の…人間?っていうか ”キャラクター達”が丁度いい感じでいなくなったり、入ってきたり……。すごく面白かったです。

——最後に、鳥山さんから柴さんに聞いておきたいことはありますか?

鳥山:わたしちょっと聞いておきたいことがあって…わたしは自分の芝居を観ている際中に、窓の外とか結構見るんですけど、みなさんどのくらいみんなそういうことやってるのかな…

 :お客さんはどう答えたら……(笑)。結構見られてたと思いますけどね。僕も見ました。

鳥山:ちょっと見てくれたらうれしい。

 :へー。それはどうして。以前からですか?

鳥山:そうですね。前からです。そんなにお芝居に集中しないでたまには外見てほしいな、って。見て欲しいけど、見てくれて無くてもいいっていうか……実際どうなんだろうって。

——上演中に窓の外を見ていた方、手を挙げていただけますか
(客席のほどんどの人が手を挙げる)

鳥山 :すごい見てる!!(笑)。

 :お昼とか雨だとまた違うんでしょうね。もっと影響を受けちゃうかと思ったんですけど、いい感じに中で起きてることと外で起きてることが混ざって気持ち良い感じでした。こういうのもあって、劇場でやるのはあまり興味ないんですか?

鳥山:しばらく苦手な感じはありました。密閉された空間がちょっとやだな、窓とか無いと、って。でも芸術劇場で久しぶり劇場を使って、最近はだんだん劇場もいいなって思ってます。

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2014.6.27(金)王子スタジオ

ワワフラミンゴ「映画」感想まとめ:http://togetter.com/li/686722