死後くんとうえのようさんとにお話いただいた内容をまとめました。
(2015/9/26 女性バージョン)
参加者:
死後くん(イラストレーター)
うえのよう(イラストレーター)
鳥山フキ(ワワフラミンゴ主宰)
2015/9/26 女性バージョン
予知能力が……!
鳥山:うえのようさんと死後くんです。死後くんというのが名前なんですね。死の後と書いて死後。
死後:そうです。
うえの:(死後くんの胸を指して)ここにバッジが。
死後:(自分の胸を指して)死後バッジが。
鳥山:(笑)。ようちゃんにはいつもワワフラミンゴのチラシの絵を描いてもらっています。マンガや絵本を描いてる方で、イマンガというフリーペーパーを作って色々なところに配布したりもしています。死後くんは……。
死後:言いづらかったら死後でいいです(笑)。
鳥山:そんなふうに呼んだことないですよ(笑)。死後くんは、いろんな媒体でマンガやイラストを描いたりしてます。うち、今回のチラシ実はあんまり刷ってなくて、そんなに配ってないんですけど……(紙を4枚取り出す)。
死後:これ、わざわざプリントアウトしてくれたんですね。
鳥山:そうですね(笑)。
死後:ありがとうございます。
鳥山:今回、男性バージョン、女性バージョンで作ることもあり、お二人は夫婦なんでちょうどいいっていうことでイラストを二人にお願いしました。「鬼を描いてください」って言っただけで、こんな感じで来たんですよね。
うえの:鬼って言われたので、鬼が出てくるのかなと思ったら本当に出てきましたね。
鳥山:そうですね。イラストの題材を決める時、うちの役者の北村が「鬼」って言うので。私、再演だから前にも出てきたのに鬼のことすっかり忘れてて「何で鬼って言い出すんだろう?」って思ってたんですけど、後で台本を見て「いた……」って。
死後:鬼以外にもなんかあったんですか?候補というか。
鳥山:いや、もう鬼。鬼でいいよって(笑)。
死後:鬼で描かせとけ。
鳥山:そんなことないですけど、そうですね(笑)。鬼どうでした? なんか描きやすいとか。
死後:(笑)。いや、すごい悩んで。
うえの:そう、鬼についてあんまり知らない……。
死後:いざ描くとなったらなんかね、俺たち鬼のこと何も知らない。
鳥山:ようちゃんなんて、これですもんね(笑)。隣の食パンみたいなのはなんですか。
死後:あ!食パン描いてるじゃん。
うえの:あ!予知能力が……!(笑)
死後:予言してる……。
鳥山:これ本当に食パンだったんですか?
うえの:食パンですね。棍棒がこう、突き抜けちゃって。
鳥山:棍棒が(笑)。
死後:あ、それ棍棒なんだ。
鳥山:棍棒なんですね。
うえの:誰にも伝わってないですね。
鳥山:そうだったんですね。
うえの:なんか、パンツが……。鬼のパンツはいいパンツだ、っていうのは聞いていたので……。
鳥山:そこをピックアップして(笑)。死後くんは、これどういう順番で描いたんですか。
死後:最初ノーマルな感じの金棒を持ってるやつを描いて……ワワフラミンゴさんの不条理なというか、ちょっとトンチンカンな世界観をもうちょっと絵にしたほうがいいのかなと思って、自撮り棒的なやつと、シュール寄りにした3つ目……。
鳥山:自撮り棒が意外と人気があって、私もいいなって思ったんですよ。
死後:ありがとうございます。チラシに使うには、内容が具体的すぎるかなと思って。もっと抽象的なほうがいいのかなとはちょっと思ったんです。
鳥山:そうですね。3つそれぞれにいいですよね。
男性バージョンのほうが面白い時もあれば、
女性がやってるところのほうが面白かったり
鳥山: 鬼の話だけじゃちょっと(笑)。今回のお話はどうでした?
うえの:昼に男性バージョンを観て……、本当に男性だけでやるっていうのが想像ができてなかったんですけど、どうなるんだ!って観たら意外とアリだっていう感じで(笑)。
鳥山:男性バージョンの話ですよね。意外とアリだと。
うえの:意外とアリだなって思ったんですけど、女性バージョンを今観て、何ですか、男性のほうが寂しそうな感じに見えるっていうか。女性は約束したり怒ったり色々しても、みんな一人でも楽しそうにやってる感じがして。男性バージョンの方は、ちょっと恋愛関係に見えたりする部分もあって。
鳥山:男性同士がってことですか。
うえの:そうですね。そういう関係。ちょっとBLみたいな感じにちょっと見えるっていうか(笑)。
死後:人と人とのつながりが、より密な感じ。
うえの:密な感じが。こんなに印象が違うんだなっていうのは思いました。
鳥山:男性の方が稽古の回数がちょっと多めだったんですよね。心配だったんで。そういうのも影響してるのかもしれないです。
死後:僕はワワフラミンゴさんの作品はこれまでいくつか観せてもらってて、その印象が強かったので、男性で演るっていうのを聞いて、うまくハマるのかなっていうのはちょっと思ってたんです。自分が男っていうのもあるんですけど、生々しすぎるっていうか、存在感というか。女性が演じる、ちょっと浮世離れした雰囲気というか、そういう雰囲気が男性が演った場合に出るのかなあ、みたいなのはちょっと思いながら男性バージョンを観たんですけど。そしたら最初の方はちょっと戸惑いつつも見てるうちにすごい世界にハマって、だんだん出演されてる人たちがかわいく見えてくるというか。
うえの:うん、かわいかった。
鳥山:ありがとうございます(笑)。
死後:やっぱりワワフラミンゴのベースがある分、その中で活かされて男性もかわいくなってしまうのかなと思って……。でもその後で女性バージョンを観たら、やっぱりかわいいわ、と思って(笑)。
鳥山:あはは(笑)。やっぱり女性の方が、かわいいわーみたいな。
死後:物を探すシーンとかでも、男性の時は全然思わなかったんですけど、ちょっと色気があるというか、女性が物を探す仕草ってちょっといいな、っていうのを思いました。背伸びしてたりとかそういう部分とかで、グッと来たりとかする部分がありました。
鳥山:私、けっこう笑いを入れてるんですけど、死後くんはプロじゃないですか、ある意味。
死後:笑いのプロではない(笑)。
鳥山:マンガを描いてたりするから(笑)。いろいろ細かいネタみたいなのを自分で考えて描いたりするじゃないですか。だから、死後くんにどこがウケたかな?ってすごい気になりました。
死後:でも、同じシーンでもやっぱり、男性バージョンのほうが面白い時もあれば、女性がやってるところのほうが面白かったりとか、やっぱり男性はちょっと顔で得してる部分があって(笑)。顔の面白さもあるので、女性はその面白さよりかわいさが越えてしまって、かわいい!って思っちゃって。
うえの:あはは(笑)。
鳥山:そうなんですね。
死後:かわいいな!と思っちゃって。見比べてみて、どっちもあってよかったですね。
「怒ってはないです」みたいに言ったんですけど、
でも怒ってるのかもしれないなあ、って
鳥山:次、何しゃべろう。
うえの:(笑)。これが命なんですね。(鳥山の持っているメモを指さす)
鳥山:そうなんです。お二人に来てもらったんですけど、私もそんなにうまくしゃべれないし二人もあんまりしゃべれない、ということで事前にどんな話をしようっていうメモを書いて、さっきお昼に来たときに二人に渡して「どれしゃべるか◯つけといて。これが命だ。これが無くなったらもう何していいのかわからないから絶対に無くさないで」っていう話をしたりしたんですよね……。
うえの:命のリレーを(笑)。
鳥山:そう(笑)。何がいいですか?場合によっては大怪我ですよ。
死後:これ、これ? これなんだっけ。
うえの:(メモを読んで)暴力的な側面。
死後:暴力的な側面。
うえの:「騙してるなあ」って書いてる。
鳥山:そうそう。3人とも比較的「かわいい」みたいな感じの作風なんですけど、意外とこう……。特に死後くんは「本当はこの人何が好きなんだろう」みたいに思う時もあるんですよね。暴力的な側面を感じるときがあって(笑)。で、ようちゃんも意外と暴力的な側面を感じる時があるんです。すごいもう乱暴な……。でも周りからは「かわいいね」みたいに言われるじゃないですか。そういう事についてはどう思ってるんですか?
死後:うーん、やっぱりイラストとかで「かわいい」とか「癒される」とか「ほっこりする」とか、そういうことを言われることたまにありますけど、まあさほどうれしくはないというか。
鳥山:あ、さほどうれしくはない?
死後:そう。まあ一応かわいくは描きたいと思ってるんですけど、かわいさを描きたいわけでは。かわいいものを通して、何かしらのものを描きたいなとは思ってるので。そこしか見てもらえなかったのかな、っていうことはちょっと思ったりはしますけど。
うえの:フキさんもよく言われるんですか? かわいいけど暴力的……。
鳥山:え、一応言われたことないと思いま……。あ、でも前回のアフタートークのときに、唐木さんっていう方に「怒ってますか」みたいに言われたんです。「怒ってはないです」みたいに言ったんですけど、でも怒ってるのかもしれないなあ、っていうのを思って。
うえの:怒ってるんじゃないか、って話にさっき二人でなったんです。フキさん、ちょっと怒ってる……。
死後:端々で怒りは感じる部分はけっこうありますね、観てて。怒りとか。
鳥山:でも私、逆にこういうかわいい作風の人の方が、そういうなんか……。自分がって言ってるんじゃないですよ?そういう、暴力的な怒りの側面があるんじゃないかって思う時があるんですよね。だから死後くんとようちゃんだと、ようちゃんの方が穏やかに見えるじゃないですか。だけど、ようちゃんのほうが実は暴力的なのかもしれないって思う時があるんですよね。
うえの:かわいいと思って見てたら、ちょっと不気味な気持ちになって欲しいみたいなところはあります。かわいいと思うんだけど、なんでこんなことになってるんだろう、っていうようなところの不気味さとか、そのもの自体それで自立してるんだけど、そのルールがちょっとおかしいみたいな感じな風になると面白いなあっていうのは、なんか、そうなるといいなと思ってます。
10時間くらいYouTube見ないと
鳥山:じゃあ、ちょっともう一回メモを見ましょうか。
うえの:事故が(笑)。
鳥山:今も、二人で一つのお仕事場なんですか。
死後:まあ、自宅兼仕事場的な感じで。
鳥山:それはうまく行ってるんですか?
死後:(笑)。いいんですか、そういう話?まあ、うまくいったりいかなかったりですかね。
鳥山:まわりに人がいても大丈夫って感じなんですか、二人。
死後:お話考えるときは、やっぱり一人のほうがいいですけど、作業してるときは一人だと、ついついYouTube見ちゃったりとかしちゃうので。だから、やっぱり人がいると、職場の感じじゃないですけど、やらなきゃなみたいな気分にはなりますけど。
うえの:こんなに寝て!みたいな。起きなきゃ(笑)。
鳥山:ああ、なるほど。でも逆に話を考える時に、話を考え始める前に10時間くらいYouTube見ないと、やる気になれない時とかないですか? すぐやる気になれないんですよ。
うえの:うんうん、わかります!
鳥山:なんか、ある程度遊んでから……遊んでないんですよ?遊んでると見せかけて……。遊びに行けないんだけど、外に遊びに行けるかっていうと行けないんだけど、じゃあ家に居て、じゃあすぐがんばれるかっていうと、全然がんばれなくて、こないだ読んだマンガをまた読んだりして。そういうのを10時間くらいやらないと……10時間は、ちょっと言いすぎかもしれないけど……そういうのないですか?
うえの:あります。私はあるけど。
死後:うん、僕もありますね。
鳥山:そういうのを人に見られるのはどうなんですか。「こいつ、ダラダラしやがって」みたいな。そういうのはもう、お互い同じ立場だからわかりあってるんですか。
死後:でもドラマとか、けっこう見てる。
うえの:暮らし始めたときは、こんなにダラダラしてたやつだったというのがバレたらどうなんだろう、っていうのは思ってたんですけど、やっぱりそうしないとやって行けないので、まあ、しょうがないです。
鳥山:気兼ねなく?
うえの:そうですね。
(まもなく終了の合図)
うえの:こんな話で終わり……。
鳥山:じゃあすみません、ちょっとお時間がそろそろみたいなので、何か質問がある方、もしいらっしゃいましたら。
――(客席から質問)男性バージョンの、男性の人たちは、やる前に女性の人たちのやつをけっこう観た上でやってるのか、それとももう、勝手に自分たちの解釈でやってたのか。わりとその、観た温度感みたいなのはワワフラミンゴのお芝居の温度感っていうか、雰囲気に収まってたので、そのへんはフキさんのほうで調整したりしてたのかなとか。
鳥山:多少は調整してたと思うんですけど、どうなんでしょうね、全然ワワフラミンゴを観たことない男性の出演者もいたので、本人がどう思ってたのかっていうのはわかんないですけど、女子と併行して進んでるんで、ある程度初期の頃に女子の方を見て、大体こんな感じなのかなっていうのは多分あったと思うんですよね。全くなんにもなく、男性だけでやるよりはたぶん、掴みやすかったんじゃないかと思います。
鳥山:では、死後くんようちゃん、何か告知などありましたら。
死後:11/3から7日まで、埼玉県のtanabikeというギャラリーで初の夫婦ふたり展をやります。ちょっと遠いんですけど、興味のある方いらしたら是非いらしてください。
鳥山:今日はありがとうございました!